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惰性が理由の停滞要因|ITジャーナリスト宮脇睦によるIT時評「伸びる会社は知っている」

惰性が理由の停滞要因|伸びる会社は知っている(第164号)

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■第164号惰性が理由の停滞要因

インターネットは道具です。そしてこの道具はその価値と使い方を正しく利用すると今までの常識を覆す結果をもたらします。

2008年2月23日発行号
目次♪

1:新着情報
2:伸びる会社は知っている!→惰性が理由の停滞要因
閑話休題:心を1gだけ軽くする一言。能力と誠実さしかない〜
3:実践テクニック編!〜文章力という宝(18)〜
4:プロが教えない話外伝!〜利益ではなく「最善」を基準に〜

それでは始まりです!!!

1:新着情報

■Web担心得心得其の六十
「個人情報保護法の商売的解釈。専門家の言えないこと」
http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2008/02/20/2638

■ミック連載

◎【第7回】集客力。商売にもっとも必要で忘れがちな力
http://www.mic-japan.co.jp/home/BLOG/archives/2008/02/post_320.html

2:伸びる会社は知っている!〜惰性が理由の停滞要因〜

 苦言を呈する人を大切にしなさいと書いたことがありますが、取引先、とりわけ「下請け」に属する人の意見を軽んじる人がいます。

 反対に「クライアント」、特にそれが元請けというスタイルだったりすると「仰るとおりです」と朝令暮改も恥じない変節ぶりを見せる会社もあります。

 どちらが「伸びる」可能性が高いかというと……どちらと分類すること自体がナンセンス。

 マスメディアと思慮の浅い人に見られる「単純化」という罠にはまっています。
 商売は白と黒、所属や属性で線引きすると危険です。
 そして、今回は「苦言の効能」について。
 
 下請けでも元請けでもクライアントでも「苦言」には耳を傾けるべきです。
 しかし、耳を傾けたからといって全てを実行に移す必要はありません。
 優先順位をつけ取捨選択しなければなりませんし、苦言ではなくわがままであることも少なくないでしょう。

 しかし、全部聞きます。

 苦言は相手の心証を悪くする可能性が極めて高く、有り体に言えば「デメリット」ですが、人間関係を悪化させるリスクを背負ってまでいってくれているのです。
 
 改善すべき点は即座に解決します。
 改善目標を立て、その旨を報告します。
 そしてついでに甘えてしまいます。

 「できてなかったら教えてね」。人件費無料で「チェックマン」、もしくは「監査役」を雇ったも同然です。

 経験されている方も多いでしょうが、「苦言を呈するクレーマー」という存在もいます。これは客だけでなく社内に多いので厄介です。

 彼らは引っかき回す目的で苦言を呈します。
 そこで、「監査役(実際の肩書きは不要)」を依頼することでフィルターにかけるのです。

 当事者になりたくないクレーマーは様々な理由を付けて逃げていき近づかなくなります。
 
 「わがまま」や実現の難しい「苦言」にはできない理由を説明します。
 理由をピックアップする過程で、習慣となっていた作業やサービスを見直す機会を得ます。

 苦言がでた以上、某かの不便や不満があるのですが、「できない理由」を明文化する過程の中で「なんとなく」や「今までは」といった「惰性が理由の停滞要因」が明かとなるからです。
 
 苦言を嫌う人には「他者に厳しく自分に甘い」という特徴があります。怠惰も甘やかしから来ます。苦言を全て聞くというのは「社内クレーマーの排泄」という企業新陳代謝にとても有効に働くのです。
 
 リスクを背負ってまで苦言を呈す人は「愛」をもっています。
 「憎悪」という愛の形もあります。

 愛を善とし憎しみを悪と分けられず、ダンナの愚痴をこぼしつつ子供が増える家があるように、「人の営み」は単純なものではありません。
 苦言の裏にある愛を活用してください。

 「単純化の危険」については…次回お届けできればと。

<つづく>
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3:閑話休題:心を1gだけ軽くする一言。能力と誠実さしかない〜〜

 塩野七生著「ローマ人の物語」より。
 平民出身で現場のたたき上げのガイウス・マリウスがローマの最高職である執政官に選ばれた際に行った演説での一節です。

 地中海の覇権国家に成長したローマでは、非常に人間的に「既得権」がはびこります。政治に平民も参加できますが、要職となると既得権の後ろ盾が必要で、現代日本の政治体制と重なります。

 そこで成り上がった叩き上げの言葉。
 染みます。

<つづく>
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3:実践テクニック編!〜文章力という宝(18)〜

 携帯小説が大人気と書店のコーナーに並んでいたので手に取ると……あぁ世界が違うんだなぁと。
 需要があるのですから、結構なことですが価値観の違いはいかんともしがたいと。
 
 ビジネスで使う文章は携帯小説のように空気感を伝えるものは不向きです。
 若者相手のイメージ商売でもない限り、全く違うものとなります。
 私達が伝えなければならないのはイメージ。
 
 両者は似て非なるもので、昨年の流行語に選ばれた「KY」の適用と同じく、所属するコミュニティーや文化、タイミングに過剰に基準がぶれてしまう「空気感」と、一定の条件を満たせば共有できるのが「イメージ」の違いです。
 イメージを伝えることが、まさしく文章の力といっても過言ではないでしょう。
 作家の考えた世界を相手の脳の中に展開させるのが「イメージ」です。
 
 次回はイメージを想起させるための仕掛けについて。
 
 携帯小説についていけないもう一つの理由は、展開が極端ですぐ人が死ぬこと。
 往年の大映ドラマかと。
 
                

<つづく>
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4:もっと実践編!〜利益ではなく「最善」を基準に〜

 客を捨てるというとおこがましいかも知れませんが、営業戦略上の齟齬がでれば取引解消も選択肢のひとつです。
 前回の続編で、私の手の内を晒します。
 
 広告屋さんから独立し、お客さんにも恵まれました。
 向上心と一人親方の不安を払拭するために色んな勉強をしました。
 すると、今までと同じことをしていては未来が明るくないことに気がつきました。
 自分だけでなくクライアントにとっても。
 
 私に求められている職分と、私の求めている理想とのギャップはすぐに現れました。
 この時、利益を求めていれば今の私はありません。
 利益ではなく両者にとっての「最善」を基準にチョイスしました。
 やりたくないことでお金を貰う。
 嫌々仕事を受ける相手に金を払う。
 最悪です。
 
 自分が変われば世界が変わります。自己啓発ではなく経験則です。
 夜明け前が一番暗いように、動き出すと悪い連鎖がおこります。

 息を吐かなければ吸えないように。
 続きます。

<つづく>
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