いつか起業を夢見る「予備軍」をネットの中でみかけます。起業と一口に言っても様々な種類がありますが、独り立ちやのれん分けとった独立から一人で商売を始める創業まで色々です。
無から有を生み出すように、ゼロから始めるいわゆるベンチャーには「夢」がありますが、とてもリスキーなゼロサムゲームで、突然会社を辞めてまったくの異分野で、未経験な商売で成功したケースはごく希で、巷を騒がせた旧ライブドアや楽天も「前段」や「つながり」がああるのです。
楽天の三木谷社長は日本興業銀行からの脱サラ組で、オフィシャルなコメントではネットの世界の楽市楽座を目指したと独立当初から今の方向性が決まっていたように報じられ、自身でもそうしたセルフイメージの構築に余念がありませんが、経歴を見ると独立から楽天市場の立ち上げまでの間に空白があります。
空白期間の三木谷浩史氏の本業はフィナンシャルアドバイザーやM&Aのアドバイザーで、これは日本興業銀行時代の彼のお仕事です。興銀時代を通じて、得た「人脈」を彼は最大限に活用して成功の階段を駆け上がったのです。裏返せば興銀時代の人脈がなければ、今の楽天市場は想像できません。
旧ライブドアの堀江貴文氏の創業は、アルバイト先で学んだ「ホームページ制作技術」を資本としています。イメージとしての「ベンチャー」というより「独立」に近いといえるでしょう。
両者はともに、それまでの人脈や経験を活かして起業しています。実はほとんどの「成功者」はこのタイプです。成り上がると過去を「脚色」するのはご愛敬。
全くの未分野にチャレンジするのではなく本業(経験の延長)から始める方が、成功確率が上がるのです。
不況の時代、どの業界でも熾烈な競争が繰り広げられています。そんな時に「未経験」の新参者を優しく助けてくる・・・と期待するのは甘すぎます。
そんな時代に起業を目指すなら本業しかありません。その分野においてはプロなワケですから。