セブンイレブンは徹底的なエリア戦略にこだわりました。
自動車で走っていると、あれ?ここにもセブンイレブンがあると次々と見かけることがあると思いますが、これはセブンイレブンが狙ったエリアに集中的に出店し、地域シェアを高めているからです。これをドミナント戦略と呼びます。一方の、ローソン(かつてダイエーの傘下企業)は47都道府県への出店に固執していました。
ドミナント戦略のメリットのひとつは、エリアでの圧倒的シェアを背景にライバル店との競争が有利になるからです。
セブンイレブンが3店舗ある地域にローソンが出店する際、ローソンはオープニング記念として「半額セール」を仕掛けたとします。セブンイレブン3店舗も「半額セール」で迎え撃ちます。単純に考えれば全店の売り上げが半減する「消耗戦」のようですが、ドミナント戦略が通用する前提は「市場は有限」であるということ。
つまり一定のエリアから得られる「売り上げ」には限度があり、限られたパイを奪い合うということです。セブンイレブンもローソンも全てが「半額」なら消費者にとって「新店」を選ぶインセンティブはなくなります。最悪の場合「出店したこと」をエリア内の消費者に知られないまま、半額セールが終わることもあるでしょう。
2009年11月時点でコンビニ業界1位のセブンイレブンは青森県、秋田県、鳥取県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、鹿児島県、沖縄県の9県内に店舗がないことは「ドミナント戦略」を雄弁に物語ります。ローソンもファミリーマートも「全国制覇」しているのと対照的です。また大都市である名古屋への出店も遅く、理由は地元で圧倒的な強さを誇るサークルKがあったからです。エリア戦略を実行しているセブンイレブンからすれば、サークルKが圧倒的な強さを誇る地域に出店するデメリットは容易に想像できたことでしょう。
一方、ローソンは1997年に全国47都道府県への出店を果たしました。
2009年2月時点での店舗数は9,527店で、売り上げは2010年2月期で1兆6661億円。もちろん、すごい数字ですが、セブンイレブンは12,753店舗(2009年度)で2兆4987億円。比較すればその差は歴然です。
ロマンとして「全国制覇」を目指すか、商売人としての実利を求めるかは「生き様」ともいえますが、2010年時点で「全国制覇」をしていないセブンイレブンの強さが「営業戦略」の重要性を物語ります。
セブンイレブンのエリア戦略についてはセブンイレブンの罠(渡辺仁著)」を読むことでより「肉厚」な理解に繋がることでしょう。セブンイレブンのエリア戦略は「FCシステム」においても有効だったのです。
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